いちばんの星
初め、ミュリエルはヴェルヌの言っている意味が理解できなかった。
しかしすぐにヴェルヌの言っている意味がわかり、カッとしてヴェルヌの手を振り払った。
「私は、別にそんなつもりはありません」
――この人は女を馬鹿にしているッ…!!
真っ直ぐにヴェルヌを見つめてそう言い返すミュリエル。
その美しい瞳から、ヴェルヌは目がそらせなくなった。
「どうして…どうして国王様はそんな風におっしゃるんですか?何か理由が…」
美しい水色の瞳に自分の姿が映っている…。
「…黙れ」
ミュリエルの言葉を遮って、ヴェルヌの低く落ち着いた声が響く。
あまりの迫力にミュリエルは何も言う事ができなかった。
(なぜそんなに…悲しいそうな瞳をするの…)
ミュリエルは、ヴェルヌの美しい緑の瞳の奥に眠っている「彼の過去」が気になり始めた。
しかしそれをヴェルヌに問う事はできず、そのまま俯いてしまった。
「…明日からも毎晩ここへ来い…」
そう素っ気なく言うと、ヴェルヌは再びグラスに手をかけた。
そんなヴェルヌの様子を見ていたミュリエルは、初めこの最低な国王と過ごす事に不安を感じたが、ふと見せる悲しそうな様子にもっと彼を知りたいと思う気持ちが芽生え始めていたのだった。