いちばんの星


「あなたは?それに……どうしてここに?」



慌てるミュリエルにスティークは自分が着ていた上着を掛けると、

「俺はスティーク。この城の近衛隊長をしている。そんな事よりなんでこんな所に…」

と言いながらミュリエルを立たせようと腕をつかんだ。



しかしミュリエルはその腕をそっとほどくと、真っ直ぐな眼差しでスティークを見つめ話し出した。



「スティーク、様。私がここにいるという事は決して他言しないでください。私がここにいるのはちゃんとした理由があるんです」



一瞬スティークは「その理由とは…」と問いかけそうになったがそれ以上は何も言わなかった。



「なるほど。ラナは君に会いに来ていたわけか…」

「ラナ?」



スティークの口からラナという言葉を聞いたミュリエルは疑問の色を浮かばせた。



そんなミュリエルに気づいたスティークは「ちょっとした知り合いなんだ」と笑って答えた。






次の夜。スティークはラナを待ち伏せするとミュリエルに会った事を話した。



その日から必ずスティークかラナがミュリエルの元へ通うようになったのだった。







< 37 / 126 >

この作品をシェア

pagetop