【完結】─続─泣き虫姫のご主人様



「はーい! 今出まーす」


 ガチャリと玄関の扉を開けば、目の前には見慣れた姿があった。


 髪も満足にとかしていない澪は慌てて手櫛で髪を整える。


 突然の来客者は、私の彼、稚尋だった。




「よっ、まだ寝てるとは思ったけど……って、なにそのガキ」




 稚尋は早速澪が抱いている男の子に気がつくと、不思議そうに首を傾げた。





 男の子は、稚尋の姿を見ると、また私に強くしがみつき。




「ママぁ……」


 と、甘えた声を出す。







 これにはさすがに、子供好きの澪も参ってしまった。





「ママって……、ちょっと……私は、ママじゃ!!」



「何慌ててんの、澪。つか、マジでそのガキなんなの? お前のこと、“ママ”って……」




「ち、違うの! 朝起きたらこの子だけがいてっ……!」



 戸惑いながらも澪は必死に稚尋への弁解を図る。




 疑うような鋭い稚尋の眼孔。


 こんな目付き、一体いつぶりに向けられただろうか。





 慌てる澪を横目に、稚尋はスッ……と澪との距離を縮める。










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