【完結】─続─泣き虫姫のご主人様





 それなのに。





 とっくの昔に別れた兄に、何の用があるんだろうか?







 昔から、あまり弥生が好きではなかった。



 あの、無邪気さが気に入らなくて。



 屈託のない笑顔が自分に向けられるだけで、思い知らされた。













 ……あの頃の、兄弟の……差。








 フッ


 じっと弥生を見つめる稚尋に弥生は失笑し、言葉を続けた。






「兄さん……ここに、置いてくれない? 僕を」






それは、想像もしていなかった言葉だった。










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