月と太陽の事件簿9/すれちがいの愛情
「周りの家にはペットボトルなんか出てなかったはずですけど」

淑恵の言葉にあたしは記憶の中の映像を探る。

うん確かにその通り。

あのお婆さんの家のようにペットボトルを出してた家は1軒も無かった。

「それはこれだ」

達郎が携帯の画面を差し出した。

そこには見覚えのある1台の車が写っていた。

「これ大家さんの車じゃない?」

この銀色の車体は間違いない。

あたしが訊くと達郎はうなずいた。

いつの間に撮ったんだろう?

「大家さんの車がなにか?」

淑恵が訝しげに訊く。

「まさか車のミラーに太陽光が反射したとか?」

あたしが言葉をつなげると達郎は首を振った。

「淑恵さんの部屋と車のミラーは向かい合ってない。向かい合っていたのはこれだ」

達郎はもう1枚の写メを見せた(ホントいつの間に?)。

そこにはタイヤのホイールが写っていた。

「このタイヤのホイールはアルミホイールだ」

「?…それで?」

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