香る紅
「昨日、倒れた織葉さんを見て・・・俺が守ってあげたいと思ったんだ。」

「いつも優しい織葉、君が好きだよ。」

「織葉、俺のそばにいてくれないか・・・?」



3人はどこから来る自信かは知らないけど、にこやかに気味の悪い愛想笑いをしながら告白してきた。

屋上にはさんさんと春の日差しが下りてきていて、暖かい、けど、なんだかこの人たちが邪魔。

話したこともないのに、名前も知らないのに、なぜか名前呼び捨てにされてるし・・・。

ていうか、授業、完璧遅刻・・・、人の迷惑顧みないってどうなのかしら。

「・・・ええと。すみませんが、私はどなたともお付き合いする気はございません。お気持ちだけいただきます。私に好意をもって下さって、ありがとうございました。」

ぺこっと頭を下げて、屋上をでるドアへ向かう。

『キーンコーンカーンコーン』

遅刻だとは思っていたけど、屋上で授業開始のチャイムを聞くと、絶望的。

・・・絶対祈咲ちゃん、心配して叫んでるよね・・・。

そんなことを思いながら、ドアに向かっていたのに。



「ちょっと待ってよ!こんなに頼んでるのに、即答でそれはないんじゃない?」

「ずっと好きだったんだよ!?もう少し考えるふりくらいしたらどうなんだ?」

「俺を振るなんていい度胸じゃないか!それとも誰か好きなやつでもいるのか!?」

肩、腕、手をそれぞれの人に強くつかまれて、強引に振り向かされる。

つかまれたところは、力を込められて、痛い。

先程の愛想笑いはどこへやったのやらというほどの、表情の変わりよう。

そんなに言うほど、熱心に告白された覚えもないんだけどなぁ・・・。


「・・・やめてください。」

「この中の一人くらい、考えてみようという気にはならないのか?」

「そうだ!返事は待ってやるから、考えてみろよ!」

「俺はいつまでも待つよ?」

こういう人達って、絶対に人の話聞いてくれないのよね・・・。

なんだかいつまでも放してくれそうにないこの人たちに、嫌気が差してきた。




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