香る紅
どんなことがあっても、時は変わらずめぐる。

何日か休んで、また、普通に学校に通うようになった。

元の生活に、戻った。

毎朝、緋凰に血を取られるのだけど・・・前とは、ちょっと変わったことがある。

今までは血を取るだめだけに抱かれたりしてたけど、今は・・・座っている緋凰の膝の上に、私が座らされて、逃がさないとでも言われているかのように、緋凰の腕でがっちりホールドされている。

結構、恥ずかしいんだけど・・・緋凰は、ものすごく満足そう。

そんな満足そうな緋凰に、今なら気にしていたこと、聞けるかなって思って、勇気を出して質問する。

「・・・私の血、誰より、一番?」
ずっと、気にしてた。

私の血が、美味しくないから、私のこといらなくなったのかな、なんてことも考えてた時期があった。

「はぁ?」

緋凰は唇についた血をなめとりながら、不思議そうな顔をする。

「だって・・・いつも飲むなら・・・。」

これで他の女の人の方がおいしいなんて言われたらショックだけど。

「わっかんねぇ」

ガンっと、殴られたようなショックが来た。

ちょっと、真剣に考え込んだことだったのに。

でもそんな私の反応を楽しむように、ずり落ちてきた私を膝の上に抱え直して言われた。

「お前の血しか飲んだことねぇもん」

「・・・え、?」

嘘、そうなの?

絶対他の人の血も飲んでいるって思ってたのに・・・。

「何その顔、心外な。・・・お前の以外の飲もうとも思わねぇよ」

「・・・ほんと?」

やだな、緋凰の一言一句に、翻弄される過ぎてる。

さっきショック受けたのに、今、こんなに、嬉しい。

なのに、「それに、」つけ足される。

告白してくれたあとから、よく見せてくれるようになった、昔みたいな、満面の、でもどこか意地悪な感じの笑みを作って、耳元でささやかれる。

「全部吸いつくしちまいたいほど、うまい。」

「・・・!」

緋凰は、真赤になった私をおもしろそうに、満足そうに見て、少し血の味が混ざった、キスをくれた。






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