香る紅
私は、そんな緋凰についてきた。

両親が亡くなったとき、緋凰は私と約束してくれた。

『ずっと隣にいろ。俺が行くところには必ずついてこい。俺と共にいろ。』

物心つくかつかないかの頃からの付き合いだった私が、あまりに不憫だから、そんな約束をしてくれたのかもしれないけど。

緋凰が私にそう言ってくれたことをいいことに、緋凰のご両親が引き取ってくれるという話をありがたく承諾し、同じくご両親から提案された緋凰のパートナーの話も承諾した。

そんな昔の緋凰の昔の約束に縋って、私は今も生きている。

緋凰は、もう、私のことを、必要としてないんじゃないかって思う。

学校に来るな、なんてこと言うし、なんだか、拒絶が多くなった気がする。

その証拠か、緋凰はパートナーの契約を、書類までしかしない。

普通、書類の段階で契約がストップするなんてことは、聞いたことがないけど、緋凰は、なぜか、その先には進もうとはしない。

私は、緋凰に、もういいよって、言わなきゃいけない。

もう昔の約束、守ってくれなくていいよって。

けど、甘えた私は、少しでも緋凰と痛くて、それを先延ばしにしてきてる。

緋凰を縛りつけたくないんなら、もういいよって、言わなくちゃいけないのに・・・。






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