Halloween☆の集い
願い
それから数日、計画を遂行するために、空の上から念入りに調査をしている。
「リタ、もう直ぐ平和が訪れるからな」
「やっとその気になってくれたのね?」
「お前も手伝うのだからな」
リタは、渋々といった感じに了承した。
まったく。ただ、面倒な事が嫌いなだけだったとはな。
彼女は、あの満月の晩の魔女認定試験に、見事合格したそうだ。お姉さんのアリスさんには、程遠いけどな。
俺たちがこの世界で、人間どもと共存している限り、やはり驚かすのは良くないことだと思う。しかし、何もしないでいて、彼らに仕返しをされるのもご免だ。
まぁ、今回はお灸を据える程度にしておくつもり。
そして、イベント決行の日がやってきた。
10月31日
いつもは人目につかないように変装するが、今日はその必要がない。なぜなら、街全体が仮装パーティだからな。
俺たちは、本来の礼装のまま、堂々とあのサンロードを通過し、人間どものいる、愛しいキャサリンのいる街へと向かった。
この期に及んで、納得がいかないと言わんばかりのリタ。
「「Trick or treat」」
子供たちの声が木霊する。
始まったな。その声を合図に、一番最後に回るであろう市長の家に向かった。
例の合言葉を、リタの子供っぽい声で奏でられ、開いた扉から上機嫌の中年夫婦が出てきた。
彼らは俺たちを見るなり、一瞬青ざめた表情をし、その後ゆっくり口を開いた。
「君たち、変装名人だね、本物が現れたのかと思ったよ」
あぁ、本物さ。
「見かけない顔のようだが、越してきたばかりかね?」
「私たちはずっと隣の街で暮らしているわ。おそらく貴方たちよりも、ずっと前からね」
リタは刺々しく、言い放った。
その通り。俺は生まれて180年、彼女は99年だからな。
見た目では、想像もつかないだろうよ。
「ユーモアのあるお方だな」
こちらを探るかのように、乾いた笑みで話を続けるハルフォード氏。
別にユーモアなんてないさ、リタはありのままを、伝えているんだからね。
こんな入り口にいても始まらない。