時計仕掛けの宝石箱
闇の中 蠢く者達により紡がれる夜想曲(ノクターン)
ブラインドに反射して光る、車のライト。

暗闇に包まれた室内でキラキラと止めどなく輝いている。

その、流れる光の洪水の中で、一人の少女が唄を口ずさんでいた。

流行っているイマドキの音楽ではない。古いポップ調のソレは、彼女の気に入っている曲だった。

膝長けの桃色のパーティ・ドレスと、刺繍された赤い花が風で揺れる。

靡く艶やかな黒髪と顔立ちは、日系人のようである。

ただ、日系人は‥

否、それのみに関わらず、世界中のどこの国にも‥‥。



紫電の瞳の人間はいない。



波立たない湖面のような紫の瞳は、憂いの灯火を覗かせる。

まだ幼さの残る頬が、ほんのりと染まった。

‥ピリリリリリリ!‥

静かな室内に響き渡る音。それは彼女の体から発されている。

勿論、人から音が発生する訳はない。彼女の右脚から、カラフルな光が漏れでていた。

少女はそれを無造作に取り出し、通話ボタンを押した。

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