時計仕掛けの宝石箱
「‥じゃあ、始めるよ」

トーマは先程獣鬼を吸い込んだ<深藍の銀輪>を手首に出現させた。

指先でなぞる先から光が溢れて、再び美しい銀の輪が広がる。

くるくると回転しながら、輪は自ら繊細な草花の模様を刻んでいく。

「<光聖輪・希鎖>(コウセイリン・キサ)!」

途端に輪が神々しく輝き出した。生まれた光の子は輪の外側まで流れ出て、トーマを囲う。

蛍のような光の一つ一つが、軽くトーマに触れて戯れている。

トーマは笑いもせずに、真摯な瞳で銀の輪を見つめている。
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