淋しがりやのルビー
「そ、そんなつもりは……」
彼を見上げると、男にしてはお大きめな黒い瞳とぶつかる。
「でも、見ちゃったのは本当だから、ごめんなさい」
頭を下げて、謝る。
「見られても俺は構わないけど、言いふらさないでほしい。あの子に悪いから」
「うん、もちろん!」
力強く返事をすると、ようやく神藤くんの表情が和らいだ。
「ありがとう。さて、荷物とってきて、帰るか」
彼が一言しゃべるたびに、血の香りが届く。
「うん」なんて返事しなければよかったのに、口から滑り落ちる。
彼のそばを離れるタイミングを逃してしまった。
日の暮れかけた薄暗い道を神藤くんと二人、肩を並べて歩く。
「なぁ、雛野ってトマトジュースが好きなのか?」
「え、どうして、それを」
トマトジュースとして学校で飲んでいるものが本当は血液だから、変に焦ってしまう。