淋しがりやのルビー
「いいえ、違います。あの、手にテニスボールをあてちゃって」
親指を上にして右手をあげて見せた。
その綺麗な顔が、まるで自分が痛いかのように痛む。
「真っ赤に腫れてるわね。シップをはりましょう。こっちへ入ってきて」
促されて、大きな白い運動靴の隣にあったスリッパに履き替えて、上がりこんだ。
カーテンの開け放たれたベッドが二つ。
その向こうには先生のデスクと戸棚、そして真ん中には先生がさっきまでいたテーブルがある。
白く大きなテーブルで、椅子が4つあり、そのひとつには神藤くんが座っていた。
「雛野、大丈夫か?」
「うん、神藤くんこそ、足痛そう」
先生のあとをついてテーブルに近づくと、彼の折り曲げられた左膝が血でにじんでいた。
「ああ、大丈夫よ。ちょっと擦っただけじゃない。洗って消毒したから、あとは絆創膏をはるだけよ」
戸棚からシップを取り出した先生が言う。
袋を開けて、シップを一枚とりだしたとき、保健室の廊下側の扉が開いた。
「先生、ちょっといいですか」