感覚のレベル【BL】
 
 勢いよく雑誌を閉じた僕は、それを握りしめるようにしてレジに駆け込む。

 丁寧に挨拶をしてくれる店員が、この時ばかりは少し恨めしく感じた。

 レシートを受け取らずに急いで出口を目指す。

 途中、人とぶつかりそうになるが何とかクリア。

 あまりにも時間が惜しい。

 あの写真の彼を確かめたくて、茹だるような夏の暑さも忘れて、雑誌を篭に突っ込んで全力で自転車をこぎ出す。

 彼の元へ。

 真相を確かめるべく。

 確かめたら?

 本当に彼だったら?
 
< 4 / 38 >

この作品をシェア

pagetop