やくざと執事と私【第2部:ラブ&レース】

第17節:殺しの心





繁華街から少し離れた場所にその雑居ビルはあった。



夜21時を回った今は、すでにその雑居ビルの周りには、人通りが少なくなっている。



私と執事を乗せた車が、その雑居ビルの前に到着した時には、すでに雑居ビルの周りを組員が囲んでいた。



私は、車を降り、執事のすぐ側で不安そうな表情で立っている。



その私の隣には、サブが、落ち着かない様子でキョロキョロの辺りを見回していた。



「サブさん、そんなにキョロキョロとしなくても、すでに鮫田組が入っている雑居ビルの周りは、うちの組員が抑えてますから大丈夫ですよ。」



執事が、緊張して落ち着かない様子のサブに優しく声をかける。



「あ、はい。・・・すいません。俺、組での殴りこみ、初めてなんで。」



サブが執事に頭を下げる。



「誰でも、最初は緊張するものです。少し深呼吸でもして、落ち着いたらいかがですか?」



サブは、執事に言われてすぐに、深呼吸をした。

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