元不良の青春物語

まっすぐ、
勢いをつけて走って、
その低い姿勢のまま、

先頭切って突っ込んできた1人を
地面すれすれで放った回し蹴りで転倒させる。

どだだんっ。

転倒する音がした。
どうやら1人ではなく、
その後ろあたりにいたもう一人も
巻き込まれて転んだらしい。
儲け。

回し蹴りをしていた右足を戻し、
蹴りかかってくる奴らの足を
しゃがんだまま縫うようによけて
背後へと抜けた。

そのまま立ちあがって、
脇腹へ力を込めて拳を突き出す。

「が、ァっ」

くらった1人はその場に崩れ落ちた。
たぶん、すぐに起きるだろう。

小さく舌打ちをして、
残りを相手にする。

幸い、相手も
武器を持っていなかったから
私はそんなに苦戦することはなかったが、
長期戦に持ちこまれたら、
確実にこっちのほうが分が悪い。

織を人質に取られたらもっと厄介だ。

はやくこいつら何とかして
ここから離脱しよう。

そう決めて、
また一人、手の甲で一撃を入れる。








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