いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ


案の定8分ほどで着くと,桜井さんはもう中に入って座っていた。


『桜井さーん』


あたしが呼ぶとすぐに気付いてくれ,向かいあう形で席に着いた。



『で,話って何ですか?』



『そう焦らないでよ。渡邊さんも何か頼んだら?それ飲みながら話そう』



桜井さんはコーヒーを飲んでいた。


『そうですね。…すみません,ホットコーヒーひとつ』


『かしこまりました』





5分もしないうちに,湯気のたったおいしそうなコーヒーが運ばれてきた。


あたしがそれを一口飲んだところで桜井さんが口を開く。



『これ,見てほしいんだけど』


『これって……プリクラですか?』


桜井さんが差し出したのは一枚の小さなプリクラだった。


幸せそうなカップルが写っている。


何の変哲もない,ごく普通のプリクラ。


『これが,どうかしたんですか?』


『写ってる人よく見て』


そう言われて確認すると,





男は越智さんで,

女は…






………………あたし?






< 48 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop