いつの日かきっとまた逢おう。その時まで,ほんのちょっとのあいだだけ…サヨナラ
『あれ,香苗ちゃん?宛先間違ってるよ?』
『いえ,あってます』
そう答えた香苗ちゃんは
少し震えていた。
『あたし…越智さんのこと好きなんです…』
『……えっ』
心が揺れる音が
聞こえた 気がした。
『一目惚れだったんです。あの日…衣緒李さんと付き合ってるって聞いて,だめだって思ったんです。深入りしたらダメだって…でも無理でした』
そう言って
弱々しく笑う香苗ちゃんを見て
俺は迷ってしまった。
『今,衣緒李さんと上手くいってないんですよね?だったらあたしのことも,考えてみて貰えませんか…?』
そう香苗ちゃんに
縋るように見つめられると
『わかった…』
それしか言えなかった。
『好きです,越智さん』
『…うん』
俺達はそのままキスをした。
衣緒李に悪いと
思いつつも,
止められなかった。