政略結婚
「蓮さん、私」


彼は、私の幼馴染みで夫。


そして、叔父の会社を救ってくれる唯一の人。


「逃げたい?」


「・・・・」


首を横に振る。


今更逃げるわけにはいかない。


叔父の会社は、多額の負債を背負って今にも倒産の危機だ。


この結婚話が持ち出されたのは、ほんの半月前。


私を娘のように可愛がってくれる叔父は、「お前が嫌だと言えば断る」と決定権を私にくれた。


それでも、承諾してほしい事はわかっていたし、叔父にはこんなことでしか恩を返せない。
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