【長編】距離
「お母さん、回りくどいの嫌いだから直球で聞くわね。」


部屋に入るとすぐに緊張した空気に。


私は、ごくっと喉を鳴らした。


「朱菜は、修が好きよね?」


お母さんは、自信が満ちた目で私を見ていた。


「うん。」


私は、嘘はつけなかった。


偽りなき想いだから。


「よかった。」


お母さんは、ホッとしてた。


「なにが?」


「実はね。
陽生は、知らないんだけどね。
たしか、朱菜が修を笑顔にした1ヶ月後ぐらいかな?
2人がね。」


お母さん、なんかスゴいニヤニヤしてる。


「私と修、なんかやらかしたの?」


私は、呆れた目でお母さんを見た。


「朱菜と修が手を繋いで、私の前に走ってきてね。
『私と修は、将来結婚するから』
ってね。
しかも、証拠とばかりに誓いのキスまでしてたわよ。」


「う、嘘でしょ?」


信じられなかった。


「嘘じゃないわよ。
お父さんが泣いちゃうかもしれないから。
みんなに言わないように秘密にさせたのよ。」
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