【長編】距離
「なんで?」


私は、信じられなかった。


どうして、変わってしまうんだろう。


「先輩、修の気持ちもわかってやって?」


榊くんは、申し訳なさそうだ。


てか、榊くんは、修がいなくなったら、朱菜から先輩だ。


なんで?


頭がついていかない。


「気持ち、なんてわからないよ。」


「たぶん、限界なんだ。
けど、どうしたって無理だから諦めるしかないんだ。」


「限界とか諦めるとかなんに対して?」



ちゃんと言わなきゃわからないよ。


「もう少しだけ、待ってください。」


「あとさ。
なんで、修がいると朱菜だったの?」


「それは....
ちょっとでも、修が諦めれるように。
けど、慣れないもんだね。」


榊くんは、照れたように頭をかいた。


「普段から朱菜って呼べば?
修のためになるんでしょ?」


「いいの?
じゃあ、俺も孝知って呼んでよ。」


「うん。
わかった。」


私は、ニコッと孝知に笑った。


「じゃあ、修のとこ行くね?」


「お願い。
私には、なにもできないから。」


「じゃあ。」


孝知も屋上からいなくなった。
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