【長編】距離
「修は、いざという時、逃げるんだね。」


朱菜が悲しそうに俺を見た。


逃げる?


なにを言ってるんだ?


「修、わかったよ。」


なにが?


なにが、わかったんだ?


俺には、わからない。


なにかただならぬ予感がしてきた。


「朱菜?」


「私がこれを言う時が来るだなんてね。」


自傷気味に笑う朱菜。


「朱菜?」


俺は、朱菜の名前を呼ぶだけで精一杯。


「修、距離置こうか?」


「ど、どうして?」


動揺が隠せない。


「今の私と今の修じゃ、上手く行かないんだよ。」


「なんで?」


「修の葛藤とかわからないよ。
けど、私が許しても我慢する修がいる。
彼女として私がいたら、辛いでしょ?」


朱菜は、それが最良の選択みたいな言い方をした。


俺のせい?


朱菜がそういうのは。
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