【長編】距離
「朱菜さ。
初彼を引きずってんだよ。」


「えっ?」


「はっ?」


私と漣斗くんは、蛍くんの言葉に吃驚した。


「誰か知らないけどさ。
その初彼が
『距離を置こう』
って、言ったっきりいなくなったんだ。」


朱菜にそんな過去が。


私、朱菜には常に彼氏がいて羨ましいとか脳天気な事を思ってた。


けど、それは。


つらい過去があったからなんだね。


友達として、情けないよ。


「私、なにも知らない。」


「今言ったことは、秘密な。」


蛍くんは、優しく笑った。


本当は、言うべき事じゃないことを話してくれた。


それは、私と漣斗くんのため。


蛍くん、優しいな。


「朱菜の場合は、やっぱ禁句なんだな。」


漣斗くんは、苦笑いしてた。


「あぁ。
朱菜の場合はな。」


少し気持ちが楽になった。


けど、これからは相談を受けたら、一般的な意見以上に答えてあげれたらいいな。


朱菜のおかげで少し成長できた私だった。


淡い恋心を残して。
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