*ハナコイ*


カタン…



枕元から聞こえる物音に、私はゆっくり目を開けた。



「あ…ごめんね。起こしちゃったか」



そこにいたのは、優しい笑顔を向ける王子様…



「王子様…それ…」



私の目に映ったのは、王子様の手に握られた真っ赤なバラの花束…



「ロゼアへのお見舞い。さっき医者に見てもらったら、ただの風邪だってさ」



まだ人間になった事に体がなれていないのかもしれない…



だって…少し前まで…



私はバラだったんだから……



バラの花束をじっと見つめる私に、ベッドの端に腰掛けた王子様がそっと話しかけてきた。



「後悔してない…?人間である事を選んで…」



じっと私の目を見ながら、真剣な顔で話す王子様。
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