バスルーム ~君の魔法が解ける時間~


『俺,ちなはメイクしないほうがかわいいと思うんだけど…』

少し苦しそうに言って,ベッドからおりてあたしのほうに近づいてきた。





…‘ちな’って初めて呼ばれた。


今までジュンから名前で呼ばれたことはない。


いつも,「すみません」とか「ちょっと」とか,かなり他人行儀だった。



熱くなっていた目頭が少しだけひえた気がした。



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