バスルーム ~君の魔法が解ける時間~


ジュンはあたしの前にひざまずいて,そっと頭を撫でてきた。


ジュンの手から伝わる熱で,しんどいのを無理しているのが,手にとるようにわかった。



『見たことあるよ…』


『…へ?』



あたしがキョトンとして見上げると,青白く面長のジュンの顔が優しく微笑んでいた。



『アスカさんに見せてもらった。ちなのすっぴん写メ。』


ジュンはそのときのことを思いだしてクスクスと笑った。



アスカさんっていうのはうちのママのことだ。


本名は日下部明日香だけど,職場では‘アスカ’ってカタカナで名前だけを使ってる。


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