ことばにできない
ユリちゃんと私が再会したのは、私が結婚したあとだ。


私が店番をしているときに、ユリちゃんが店に入ってきた。

「ホントだぁ~ホントに、きれいになったね」
それが第一声だった。

「私のこと、憶えてる? 星野ユリ。小学校で同じクラスだったの。
憶えてないよね、私、友だちいなかったから。
相手にしてくれたの、早苗ちゃんくらいだったからね」

それから一時間くらい、彼女は自分のことをしゃべり続け、その日はアンティーク調の手鏡を買って帰った。

その後は殆ど毎日やってきては、一時間くらい喋り、締めくくりに小物を一つ買って帰るようになった。


毎日話を聞いているうちに、私はユリちゃんの人生の全てを知り尽くしたような気がする。






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