ことばにできない
自動販売機で、温かいミルクティーを二本買って、一本を少女に渡した。

「ありがとう」

か細い声で彼女は言うと、崩れるようにソファに座り込んだ。

私もその横に腰を下ろした。少女は私の肩にもたれかかり、呟いた。
「優しいね、お姉さん」

優しいのは私じゃない。

私は三年前にしてもらったことを、そのまま、あなたにしているだけ。

  *   *   *
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