ことばにできない
いっそ、母と二人で死んでしまおうか…

半ば本気でそんなことを思いながら、アパートの近くまで帰ると、母が自動販売機のそばにいた。

「また飲んでる。止めなよ」

と乱暴に言う私をにらみつけながら、母はわざと音を立てて缶をあけ、ゆっくりと一口飲んでニヤリと笑った。

「髪、いつ染めたの?」

と私に問いかけながら、母は急に咳き込み、言葉の最後が聞き取れなかった。

母の顔がみるみる黄色くなっていった。
母は急に顔をゆがめ、吐いた。そして地面に倒れた。
 
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