危険な彼女
「……………」




奈津は黙ったまま、動けずにいた。




突然、亜紀に好きだと言われ、混乱していたとゆうのもある。





………しかし、一番の理由は自分の不甲斐なさにあった。





内気で、いつも自分の気持ちをはっきりと出せない亜紀だ。



告白だなんて、想像できないほどの葛藤があったに違いない。



そして、勇気を出して告白したら、相手はだんまりときた。



これは泣かしても仕方ない。





「俺…最低だ…………」




ぽつりとひとりごとをつぶやく。



そして、ガン!、と思いきり壁を叩き、小さく拳を震わせた。
















………高校最初の夏休みは、


もどかしい感情と、鈍い痛みと共に、こうして始まった。
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