危険な彼女
〜奈津side〜




小さな亜紀が奈津の胸の中で泣き出した。



突然のことで少し慌てた奈津だったが、すぐに落ち着きを取り戻し、亜紀の頭をなでてやる。




胸の中の亜紀は、本当に幼くて、本当に子供のようだった。



そんな亜紀を見ていると、何だかいたたまれない気持ちになってくる。




こんな小さな女の子が勇気を出して告白してくれた。



なのに自分は、こうして頭をなでてやることしかできない。



ふいに自分がとても身勝手な人間に思えてきた。




答えは出さなければいけない。



できるだけ早く。



亜紀のためにも。






………でも、




もう少しだけ、こんな関係を続けていきたい。



この関係を壊したくない。





………そう思うのは、悪いことなのだろうか。






奈津は祭りの会場からうちあがる花火を、亜紀の頭をなでながら、ただ黙って見続けた。
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