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電話

―――

次の日は最悪だった。

あまりの気分の悪さにベットから出られない。

これが二日酔いってやつか…。

枕に埋めた顔をどうにか持ち上げ立ち上がると、そのままふら付く足取りでバスルームに向かい、少し温めのシャワーを出した。

耳に残る昨日のざわめき。

昌斗の声も一緒に耳に残っていた。

私は全ての音を洗い流す為、頭からシャワーをかける。


バスルームから出る頃には胃のムカムカも耳に付いたざわめきも落ち着いていた。

冷蔵庫から良く冷えたミネラルウォーターを取り出し、そのまま口をつけ飲む。

冷たい水が、喉から食道、胃に流れ込むのが良く分る。

空になったボトルをキッチンに置くと、私は両手を横いっぱいに伸ばし大きく伸びをした。

「んーっ、ふぁーっ」

まだ少し頭が重い。

2階の自分の部屋へ戻る途中、リビングでテレビを見ながら大笑いする両親の声が聞こえた。

平和な日曜の昼下がり。

そんなのどかな時間を打ち破るかのように携帯の着信音が部屋に響いていた。




ディスプレーには非表示の文字が点滅している。

――誰?

あの飲み会の後だし、もしかしたら同じ学部の人かも。

しばらく点滅する文字を見つめ、思い切って通話ボタンを押した。

「――もしもし?」

「もしもし?俺だけどー分かる?」

おどけた口調の低い声。

聞き覚えがあった。

「――翔?」

「元気?」

「うん、いや、二日酔いかも」

「あのさぁ…」

少しの沈黙の後

「俺と付き合ってよ」

の言葉。

一瞬、頭の中が真っ白になる。

昨日初めて会ったばかりなのに…何言ってるの?

それに話なんてほとんど…。
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