モノクロ
「あ……色々ありがとうございました」

改めてお礼を言うと、

「今日は真央ちゃんのこと見に来たのよ」

って言っておばさんは微笑んだ。


「琢磨はいいの?」

「いいのよ、あんなの」

「あんなのって……おい」


おばさんの後ろに立った琢磨は、何とも表現し難い表情でため息をついた。




「あれ? お前、耳どうした?」

「耳?」

そう言われて耳に手を当てて、思い出した。


「思い付きで……ね」

……そうだよね。


昨日の夕方会った時はなかったんだもん、びっくりするよね。




「そろそろ式、始まるんじゃないの?」

講堂と思われる場所に人が流れていくのを、おばさんが指さして言った。


「私! まだクラス確認してない!」


「お前、バカだろ……。同じクラスだったぞ、俺ら」

「えー、琢磨と同じクラスかー」


「何か文句あんのか?」

「べっつにー」


「ほらほら、遅れるわよ」


おばさんに促され、私達は言い合いをしながら講堂に向かった。




式も無事に終わって教室に入った。

私達一年生の教室は三階にある。

これから毎日三階まで上がるのか……。



「ねぇ」

自分の席に座ろうとしたら、後ろに座っていた女の子から声を掛けられた。


「きれいな髪だね。真っ直ぐで」

「そう、かな? ありがとう」


「私、都築遥。よろしくね」

「高岡真央……です」


「何で敬語? 遥でいいから。真央って呼んでいい?」

「あは……何となく。よろしくね、遥」


彼女、都築遥はきれいな栗色の長い髪をゆるく巻いていた。

ぱっちりとした大きな瞳が印象的だけど、見かけと違って性格はサバサバしていそうだった。
< 25 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop