モノクロ
3:束の間の幸せ
結ばれる夜
それから、私と琢磨は距離を置いた。
今まで仲良かったから周りは不思議がったけど、ケンカしてることにした。
紗依子が言うには、琢磨にケンカの原因を聞けば“俺が悪い”と言うらしい。
私は“私が勝手に怒ってるだけ”と答える。
事情を知っている紗依子は、特に何も言わなかった。
それは貴文くんも一緒で。
気付いてるっていうか、予想出来てるんだと思う。
何も知らない遥と淳くんは“おかしな二人”と言う。
私と琢磨が距離を置いてしまったせいか、男女別々に行動することが多くなった。
──もらったピアスはまだ、紙袋の中。
「真央さ、それってファーストピアスでしょ? いつまでしてんの?」
昼休み、食堂でカレーをつつきながら遥が言った。
「……バイト代入ったら、買おうと思ってたんだけど、ね……」
いつになるか、わからない。
実現するのかもわからないけど。
もし、琢磨と今まで通りに戻れたら、先生に気持ちを伝えようと思っていた。
それから、もらったピアスをしようって。
「バイト代って……もう入ったでしょ?」
「そうなん、だけどね」
それまで、他のピアスをするのは気が引けていた。
違うピアスをして、気持ちがないんだって勘違いされたくなかったから。
季節はすっかり夏になり、もうすぐ……。
「そういえば、真央、誕生日もうすぐじゃん?」
そう。
もうすぐ誕生日がやって来る。
初めて、一人で過ごす誕生日──……。