耳元で囁いて




「これ?」


「え?」

私が一生懸命ハンカチを探していたら、声とともにハンカチが頭の上から降ってきた。



いや、正確に言えば誰かが持っている。



私は、ハンカチを持っている人の顔を見た。



「これ?アンタが一生懸命探してんの。」


その人は、目つきは怖いものの喋り方はとても、優しかった。


「....あ、うん。ありがとね?」


「いいよ、別に。」


去っていこうとする彼を、私は何故か引き止めた。


「待って!!」


「....?」


彼は、ゆっくりとこっちを向いた。



「名前...名前を教えてくれない?今度お礼がしたいから。」



彼は、考えているのか少し、間が空いた。



そして、
「平川 俊。」
彼はそう言った。


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