ショコラ
沙紀は最初から、徹の事が好きじゃない。
軽いしちゃらんぽらんだって、よく言ってた。
なのに、私が彼とつき合うことにしたって言ったから、
私の事も怒っていたのだ。


「振られたんでしょ?」

「う、うん」


歯に衣を着せぬ物言い。
少し睨んでくる目が怖い。

だけど、沙紀は溜息を一つつくと私に笑顔を見せた。


「目ぇ覚めた?」

「……う」


それは、わかんない。
正直、この間の話を聞いてから、頭の中は徹のことばかり。
でもそう言ったら、沙紀はまた遠くに行っちゃう?


「うん。振られちゃったもん」


とりあえず、そこは間違いないから言っとこう。


「よしよし。あんな男忘れてさ。また仲良くしようよ」

「うん」


ああ私って。ホント主体性ないな。
でも寂しいんだ。ホントに。
誰かに傍にいてほしい。
一人でいると、嫌なことばかり考えちゃうんだもん。

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