ショコラ
5.彼の過去
 それから1週間。
ようやく決心がついて『ショコラ』の前まで行くと、珍しく沙紀からメールが来た。


【ヒマだよー。今何してる?】


何って。……今から決死の行動をするところですが。


【ちょっと出てるところ】


と返すと、今度は電話がかかってきた。


「もしもし沙紀?」

『後ろ、見てみ?』


電話口のその声と同じ声が後ろからも響く。
沙紀は温かそうなダウンジャケットを着込んで、後ろで手を振っていた。


「なんで、ここに?」

「偶然だよ。ふらふらしてたら和美が見えたからさ。どうしたの?
ここってあれでしょ?」

「あれって?」

「ほら、アイツの行きつけの店」



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