ショコラ
6.相談
 マサさんのケーキの最後の一口を、
冷めたコーヒーで飲み込む。
もう店に入ってから30分は経っていた。

マサさんは、私が飲み終えたのを確認するとにっこり笑って傍まで来た。


「おかわり、いる?」

「ううん。大丈夫です」


私も、笑って答えられるくらいにはなっていた。
まあ、顔はきっと目が腫れて変なんだろうけど。


「……聞いてもいい?」


あくまでもマサさんは優しい。
私が話しだすのを、ずっと待っていてくれた。

ようやく話しだそうとすると、タイミング悪く注文が入る。
マサさんは軽く手をあげて「ごめんね」と言うとケーキを出しに戻って行った。
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