グッバイ・マザー
 葬儀場からの帰り道、僕が先に車内の沈黙を破った。僕は、ふと疑問に思った事を口にした。
「高遠家って親戚少ないよね。早坂の方の親戚は見たけど、母さんの方の親戚って、小名子さんだけ?」
「そうね。親が死んでからは、親戚とも疎遠になってるからね。」
「でも、叔父さんとか従兄弟とか、いるんでしょ?」
「まあね。多分元気にしてるんじゃない?」
 伯母は前だけ見て、素っ気なく応えた。その態度だけで、何となく触れて欲しくない話題なんだなということは、僕にも伝わった。
 「そうだ、今日の夕飯、何にする?」
「すき焼き食いたい!」
 先程の会話はすぐに終了した。
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