茜なる焔の旗

太陽に向かって撃て!

 上昇しながら、一孝は重力ハンマーの発射準備にかかる。

「重力場発生…くそ、照準が定まらない」

 大気圏を離脱しても、雅の機体は激しく振動して軌道軸を維持するのもままならない。

 反動の大きな重力ハンマーを撃てば、ほぼ確実に再突入する羽目になるだろう。

 雅には単独運用を前提としているためか、どんな体勢でも大気圏突入できるようシールド機能がある。

 機体各部から冷気ガスを噴出し、突入時に発生する熱を相殺する機能である。

 しかし、一孝は実際にそんな事態が起きたら対処できる自信はない。

 もうひとつ、一孝には気掛かりな事がある。

「変だな。隕石らしき反応が全くない」
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