現実RPG
プルルルル、プルルルル……


「もしもし?」


「もしもし、拓馬?今日、暇?」


彼女からの電話だ。拓馬はまだ彼女に、就職活動を諦めた事を伝えていない。言えないまま、数ヶ月が過ぎた。


来年からは、籍を入れて二人で暮らそうとしているのにも関わらず……


「あぁ……いや、今日は、企業の最終面接があるから、ダメだ」


「そっか……わかった」


パチンコで負けた苛立ちから彼女と遊ぶテンションにもなれず、いつもの嘘で電話を切った拓馬は、頭を抱えた。


「あぁーくそ……めんどくせぇなぁ」


来年から一緒に暮らすというのに、拓馬には貯金が一銭も無い。今は実家に住んでいるから食には困らないが、バイトもせず、働く気も無く、先が思いやられる。


色々と考えることに疲れた拓馬は、食べかけの牛丼を残し、店を出て車に乗った。


「あーあ。宝くじでも当たりゃーな……」


そう呟きながらエンジンをかけると、さっき牛丼屋で取った求人広告が目に留まる。


「やっぱ……働くしか、ねぇかな……」
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