カラカラライフリズム



本当は捨てたかったが、

誰かが不用意に拾うと思うと、それも怖かった。
 
今、ナイフは布で包んでベッドの下にある。
 
自分さえ耐えれば、終わる話だと思っていた。

「……教授、やっぱり俺達の『これ』は、

記憶障害みたいなものなんですか?」
 
理人が、尋ねた。
 
彼等は、治療に関わるから、

と詳しい事を教えて貰えずにいた。

それどころか、満足に自分達で調べる事も許されない。

そんな事、あっていいのだろうか。



< 726 / 860 >

この作品をシェア

pagetop