カラカラライフリズム



「僕は? 僕のことは無視ですか。

せっかく何十カ月か振りに、ここに来たってのに」

「もちろん、秀も偉いわよ」
 
吉野は、無邪気に喜んでいた。
 
しかし時計を見ると、その顔が少し曇った。

「……遅いわねえ」
 
なんて、呟いている。
 
気になった一樹は、ほおっと溜め息を吐く彼女に尋ねた。

「誰を、待ってるんだ?」
 
人を待っている、というのは単なる直感だった。


十中八九、樋口でないことには自信があったが、

誰なのかは分からない。



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