カラカラライフリズム
光はカップを置いた。
「俺は、どうしてお前がそれを知ってるのか、
って事の方が驚きだ」
晴喜は答える代りに、にこりと微笑みかけた。
「あら、そうかしら?
もうみんな、知ってるものだとばっかり思っていたけれど……」
光だって、所内の退職者が増えた事くらいなら知っていた。
余程の事情が無い限り、
今は異動も認められないからだという。
目立った行動は慎むように……。
しかし皆、命は惜しい。
突然身を襲うかもしれない暴力的な悲劇は、
時にウィルスの蔓延よりも恐ろしい。
知った顔は一人、また一人と消えて行った。
だが、それで新しく別の人間を引っ切り無しに受け入れるのは、
いささか危険なのではないかとも思った。
新しい担当官や清掃員が、
狂気の信仰を掲げるテロリストかもしれないではないか。