カラカラライフリズム
「……『晴喜』は、元々資産家の娘だった。
有名な、人形メーカーの社長令嬢よ。……皮肉ね。
記憶を全て無くしてから、『晴喜』として人形を作るなんて。
それとも、『この子』はまだ心のどこかで、人形の事を覚えていたのかしら……」
ヴェロニカと名乗った彼女は、淡々としていた。
まるで、他人事のようだ。
しかし、『自分の事』ではないというだけで、
どこか彼女の口調は『晴喜』に対して、保護者めいたものでもあった。
「……あれは、一体いくつの時だったのかしら。
『この子』の両親の仲が、悪くなっていったの。
原因は父親の浮気。でも、母親はそれを見て見ぬ振りしてた。
黙って耐えて、夫と愛人の仲が冷めるのを待っていたの。
……けどね、『この子』の父親に、そんな気はさらさら無かったみたい。
それで、いくら離婚を持ちかけても首を縦に振らない妻を、
遂には殺そうと企んだ。
それも、『晴喜』を使ってね……」