君のキオク、僕のキオク
「痛っ・・・・ハハ、なんかちょっと頭痛が」

こめかみを指で押さえた。琉矢は一瞬戸惑って言葉を切った。

事故の話はやめよう。

「そっか・・・君とは仲良かったんだね」

この子の話し方は、なんか不思議。言葉を一つずつ選ぶかのような話し方。

「あのさ、君のことなんて呼んでた?」

ちょっと沈黙。

「ん・・・・琉矢・・・だったかな」

「ありがと。じゃあそう呼ぶ」

微笑む。多分、目は笑ってない。いつものように。

そのまま無言で家の近くの信号まで歩く。

「じゃあ・・・オレのうちあそこだから」

うちの裏だ。近っ!

「じゃ・・・じゃあね、琉矢」

手を振った。

琉矢は軽く手を上げてから、歩いていった。

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