伸ばした手の先 指の先

 それから、あたしは魂が抜けたみたいにうっすらと日常を過ごしていた。

「琴音ちゃん!」

 それでもことの結末は報告していたのだろう。

 葵先輩は気遣わしげに、あやめ先輩はいたむように、双葉先輩は目に涙を溜めてあたしをぎゅっと抱きしめてくれた。

「もう、いいんです」

 ぼんやりと言葉をつむぐ。

「諦めます」

 ゆっくりと弓を手にとる。

 そっと弦に当てる。

 掠れた音が、どこか遠くで聞こえた。

 

 一人に戻った帰り道。

 後ろからついてくる足音。

 もう、振り向かない。

 振り向かないけど。

 あの人だったらいいな、と思う。

 そしてそのまま、歩き続ける。
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