危険中毒
ハイウェイにはいってからも、
長らく使われる事なく
整備の行き届かぬ
アスファルトのせいで、
スピードをだす事は、
ままならなかった。


二時間ほど走り、
ある出口の前で、
バイクを停める。


「参った・・・。
フルカウスのバイクなんざに
するんじゃなかった。」

メットを脱ぎながら、
モニカが舌打ちした。


「バカだな。
モトクロスか、ハ−レ−に
すりゃあよかったんだ。」

俺もメットを脱ぎ、
髪を手櫛で梳きながらいう。

「おまえの事だから、単純に
速度重視なミスチョイスを
したんだろう?」


モニカは、眉間にシワを寄せて
そっぽを向いた。


あたり、か。


俺は、苦笑を噛み殺した。


しかし・・・
この工業地帯に
差し掛かってから、
随分たつが・・・。

無人の超構造物が、
これほど不気味だと
思わなかった。


電力不足でまともに
灯ることのない照明器具が、
不気味さを増幅している。


時折、悲鳴のような、
軋んだ音をたてて
吹き出す水蒸気も、
相当クレイジーだ。


 

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