危険中毒
 

「ねぇ、ムーン・・。」

最近、眠りが浅い。

頭が、すっきりしない
日が続く。

「ああ?」

不意に呼ばれ、
ガバッと身体を起こす。

「ずっと・・・
寝てないでしょ?」

俺の眼を、
俺の身体の下から見上げ、
彼女が言った。

彼女が、
身体を入れ替える。

そう、不意をつかれたとて、
何の知識もないオンナが、
自分の体格より
大柄な男の身体を返すなど、
所詮、無理なんだ。

ベッドに、仰向けに
押さえ付けられる。


「見張ってたんでしょ?
ずっと。
アイツが来ないか・・・」

サタンが、
ここに来ない保証は
ないから。


「私が、見張ってるし。
少し寝なよ。」

「襲われてるみたいだな。」

手足を押さえて、動きを封じ、
口にする台詞ではない。


でも・・・、

モニカらしい。


言葉に甘える前に、
リディアの人格に、
釘を刺さねばならない。


かつての、サタンの彼女を元に
サンプル作成した人格と、
死亡者リストから、擬装した、
人名と経歴。


書き込みが薄いとはいえ、
今のモニカの隠れみのだ。


 

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