危険中毒
モニカが部屋をでてすぐ、
キムから受け取った資料に
目をやった。


「!!・・・。

こいつ・・・」

そこにファイルされたのは、
キムと同じゲリラにいた、
少年兵だった。


「嘘だろう?!」

思わず、掌で目元を覆う。

なんで、ここにいるんだ?!


なんで、逃げなかった?!


逃がしたハズの少年が、
実験体として、
利用されていた。



『失敗作に尽き、抹殺』


感情も何も見えない文字。


データには、


『誰にも制御不能』
『獰猛、猛獣』
『DNA操作失敗』


神の域を越えた実験を
思わせる単語が続く。





「ゾラ・・・はいるぞ。」


奴の部屋の扉を開けた。


「マックス。頼んだぞ。
最期くらい、人間らしく、
死なせてやってくれや。」

机に伏せたまま、
奴は、いって。


「ああ。引き受けた。」


俺は、血を吐く思いで、
承諾の意向を告げた。



 
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